大正ロマン女人のまつりを企画された森本佳代子さん・出演される良元栄子さん・着付けをされている村田昌代さんにお話をうかがいました。(2001.6.30.Sat)
●不思議城下町桜の会のことについて教えてください。
4年前、編集者の佃史子さんという人に出会い、「城下町を一緒に蘇らせよう!」と誘われました。私はそれまで30年間フラワーデザイナーをしていたのですが、佃さんの人柄に惹かれ、仕事を辞めて、事務局でもある桜工房という店を開きました。
それが不思議城下町桜の会を立ち上げるきっかけになりました。 まず、宇野千代と錦帯橋をテーマにして佃さんが創作した『木組みの虹』という演劇を、県民文化祭で上演しました。
錦帯橋と、江戸から大正にかけての建物が残る、この古い町並みを生かしたまちづくりをしようと考えたんです。小宇宙のようなこの城下町を全国にアピールしようと「不思議城下町」という名前をつけました。
●それから会の発足までが大変だったということですが。
そうなの。その後、佃さんが病気でリタイアしたんです。「この城下町を盛り上げたい。けれど説得力がない私ではみんなを引っ張っていけない。」そう思っていた私に、佃さんは「あきらめないで。絶対にあなたと一緒にやっていこうという人が現れるから」と言ったの。
そんな時に、全国でまちおこしをされている、澤田エリザベス詞子さんと出会いました。彼女は、岩国で公演をされた時に、「まちづくりをしている人のところへ行きたい」と言われ、桜工房へ来られました。その時、「本当にこのまちをよくしたいのなら、30人集めて!そしたら私はあなたと、この城下町のためにできることをしていく」と言って帰られたんです。それから私は眠れないくらいに悩みました。彼女が佃さんの言っていた人なのだと思いました。観光ホテルの方に相談し、人を集めることが始まりました。地元で商売をしていて、まちが活性することによって得をする人、そして何より情感のある人。50名程度に声をかけ、当日、ちょうど30人が集まりました。そこから彼女と一緒に、この不思議城下町桜の会を発足させたのです。集まった人は「岩国を何とかしたい」と思う心のある人たちばかりでした。
●いろいろな偶然と苦労が重なって出来た会なんですね。現在はどのような会なんですか?
現在は正会員25名で、賛助会員が40名くらいです。力じゃなく、人情の溢れるまちにしていきたいと、会員みんなが願っています。 「いくら錦帯橋がよくても、城下町がさびれてはダメ!」そんな思いで活動をしています。女性のメンバーが多いので、「女性中心の会」と男性には言われますが、私は、「女たちが桜の花びらになってフィットする。男たちは太い幹になってそれを支える」そんな会だと思っています。みんなの目指すものが一緒で、支え合ってまちづくりをしているんです。
私は澱むことが嫌いで、常に流れ続けています。そしてたくさんの人と出会う。「偶然」というのが好きで、出会った人との偶然を大切にしながらこの城下に一生住んでいたいですね。
●きらら博で企画されている「大正ロマン女人のまつり」について教えてください。
実施するのは今回が2回目で、昨年の10月に錦帯橋周辺で行ったのが最初です。その時は一般 の人に参加募集をかけ、近畿や九州の人を含め、約190人が参加しました。集まった人たちが大正時代の着物や服を来て、練武場から噴水公園までパレードし、ファッションショーを行いました。その後、澤田さんの記念講演や交流会を行ったんです。すごい迫力で、大盛況でした。
きらら博への参加者は、4月から募集をかけました。募集期間の毎週日曜日には、ボランティアの方が“おはん絵姿”で錦帯橋の周りを歩き、きらら博への参加と、参加者募集のPRをしてくれました。そのおかげで、2歳から80歳まで、男性20名・子ども10名を含む150名が集まりました。
“おはん絵姿”というのは宇野千代の『おはん』に出てくる女性たちが、大正時代の着物を身にまとい、ナレーションに合わせて動く、お人形のような絵姿です。
着物はいろいろなところから古着を仕入れています。桜工房では着物も売っているのですが、着物は全てイベントに使うため、商売にならないですよ(笑)。
●きらら博ではどんなことをされるのですか?
ステージでは、約60分の芝居をします。芝居といってもセリフや演技はなく、出演者はナレーションに合わせて動くんです。ナレーションと動き、そしてスクリーンでの映像との組み合わせを楽しんでいただけます。
城下町に咲く花と行事で、季節を演出する『城下町花ごよみ』という芝居です。各季節ごとに見所を設け、季節を通 して、城下で生きた女の一生を表現します。
ステージが始まる前には、出演者が会場内をパレードします。現代的な博覧会の中での大正着物は、お客さんを引きつけるはずです。パレードには、県民参加のディレクターさんも参加してくださるんですよ。当日来られているお客さんも飛び入りで参加できるように、着物を持って行きます。よろしかったらぜひ大正着物を着て、一緒に歩きましょう。
●大正着物のよさは?
(良元さん)私は着物が好きなんです。大正時代に生きていたわけではないけれど、大正着物には何か懐かしさを感じるんです。他の時代のものと比べ、袖が少し長いところもいいですね。
(村田さん)襟を付け替えていろんなバリエーションが楽しめるんですが、これは魅力ですね。長襦袢や着物の模様に合わせて、その時その時で好きなように組み合わせられるんです。大正時代の人がそれを楽しんでいたように、私も楽しんでいます。
●きらら博後にも大きなことにチャレンジされるそうですが。
はい。国の「文化のまちづくり事業」から支援を頂き、「大正ロマン女人のまつり」をまちの祭として育てることを、第一の事業として掲げています。また、岩国の『白蛇物語』を創作して、錦川に芝居小屋を建て、公演することも考えています。そのほかにも講演会や、お宝発掘探検隊等のイベントを行います。
|